国語の学習参考書の種類

国語の学習参考書の種類・選び方・活かし方

 

国語の学習参考書は、ハードカバーからソフトカバーに変化した。また、著者も教養主義旧制高校向けであり、大学教員が主な執筆者であったハードカバーの時代が変化していった。その契機になったのは、実況中継版の出現あたりである。旺文社ラジオ講座という番組があり、そのテープ版や活字版が発売されるようになった。その発想の中から生まれたのが、旺文社の『現代文標準問題精講義』・『古文標準問題精講』・『漢文標準問題精講』といったシリーズであろう。そして、「〇〇の実況中継」というタイトルの書籍が語学春秋社から発売されたあたりから、ソフトカバーがハードカバーを駆逐したといえるであろう。国語の場合には、代々木ライブラリーから、『田村の現代文講義』『田村の小論文講義』『土屋の古文講義』などのシリーズが出て、それまでの、旧制高校を受験の趣の備えた『新釈現代文』(新塔社)、『古文研究法』(洛陽社)、『漢文研究法』(洛陽社)などの教養的な学習参考書は、評価は高かったものの、完全に時代に合わなくなり、それぞれ出版社も倒産してしまった。このように、苦手な場合には講義・実況中継型の参考書を使用することになった。

或る程度、苦手意識がなくなったら、問題慣れをするためには、ドリル・練習問題型がよいのはいうまでもない。そのドリルとしては、旺文社の『小論文ミニマム攻略法』・『漢文ミニマム攻略法』などは、旺文社ラジオ講座の長所を生かしたもので、入試に焦点を絞った適切な解説を施したドリルタイプであった。それに対して日栄社の『古文の演習ノート』・『漢文の基本ノート』は、解説というよりも典型的なドリルであった。この旺文社と日栄社の長所を生かしたタイプとして、河合出版の『頻出漢字と基礎知識』・『古典文法基礎ドリル』・『古典文法トレーニング』・『漢文句形ドリルと演習』があげられ、現在のドリルの模範的な形式が定まった。