現代文の学習参考書-高田瑞穂・石原千秋-

高田瑞穂 石原千秋

『新釈現代文』(新塔社・ちくま学芸文庫)という、現代文の学習参考書の大ベストセラーを書いたのは、高田瑞穂である。専門は、近代文学でした。国文学科と哲学科の両方を卒業した人物で、成城大学の教授でした。教養を中心とした内容である。旧制高校の受験の頃を想定して書かれており、主に記述問題が中心という感じです。高田瑞穂の教え子である石原千秋は、この路線で『教養としての大学受験国語』『大学受験のための小説講義』(ちくま新書)を執筆し、広く読まれた。入試問題の出題者が書いたということで、一般に読まれ、高等学校や予備校の業界にも影響を与えたものである。

長所としては、大学の教員はどのようなことを考えて出題しているのかがわかるということがあげられる。現代文を読むときの教養の重要さを説いたものであると言える。入試問題を解くテクニックに疑問を投げかけるタイプの参考書である。現代文を読みながら、教養を高めるための豊富な参考文献を挙げているので、現代文と教養を結び付けた有意義なものである。

短所としては、旧制高校の受験を意識しているため、大学生が読むにはよいが、果たして入試で役立つかどうか、という問題がある。これらは一試論として現場の教員が読んで、その長所をみていくのに適していると言える。また、教養を述べているので、解答・解説の水準が現在の予備校の水準ではないので、点数を上げるには不向きである。